「人を援助する」ためには単純な教室での学びだけではなく、実際に社会福祉の現場に出て、社会福祉の方法を用い、知識を活用する体験が必要となります。そのような現場での学習を進めるのが社会福祉実習の科目です。
本学の実習科目には二年次生対象の実習1と四年次生対象の実習3があります。実習1(1週間)は基礎実習として「利用者の理解」と「信頼関係の形成」というシンプルなポイントに焦点化して実施しています。実習3は社会福祉士または精神保健福祉士の資格実習です。
実習とは単なる現場体験ではなく、事前の学びや、事後の振り返りによって深くも浅くもなるものです。実習に行った、というだけでは殆ど意味がないといっても過言ではありません。その経験から何を導き出すか、素材から何を導き出すかが勝負になってきます。
例えば高齢者に実習生が「こんなものまずい、食べられるか」と食事を吐き出されたとします。この体験は心の奥にしまってしまえば、「つらい体験」というだけで終わるかもしれません。しかし、「振り返り」によって職員の配置の問題や、利用者の生活史などの角度から多面的に体験を捉え返すことが可能になります。
中高がキリスト教主義で、そこで徹底的に「自分だけのために生きるな」という教育を受けて「乗せられて」しまったところがあります。かなりその時代の教育についてはクールに眺めているが、自分としてはキリスト教のせいであると思っています。
大卒後、知的障害児施設の職員になりましたが、実践への疑問が湧いてきて、大学院に進学することになりました。職員の養成や組織の問題に関心を持ったのもその時代です。後輩となる実践者を育てたい、という思いが実習という領域に自分をとどめていると思います。