人間が生まれてから死ぬまでのプロセスを考えた時、生物学的な面から見た生と死と関連しつつもそれとは異なる位相として、社会的な生と死という位相を考えることができます。社会的な生とは社会のメンバーとして、行為者として認められ、社会的に活動する過程であり、社会的死とは逆にそのようなポジションを失っていく過程と捉えることができます。
若者支援論では(1)近代社会における社会的な生と死のあり方という大きな問題意識を踏まえつつ、(2)日本の近代化において社会的な制度としての若者期(子ども期から大人期への移行期)がどのように社会制度として成立し、変遷してきたのかを確認した上で、(3)現代日本社会において若者期に支援が必要になっている事情とその具体的な事例および支援のあり方について考えていきます。
若者支援論Aでは、近代化の過程において社会的生のあり方を大きく規定してきたメリトクラシー(業績主義)の導入と普及という面に着目しながら、近・現代の日本社会における若者期のあり方とその困難への支援を考えます。
若者支援論Bでは日本社会において注目を集める、ひきこもりという経験/社会問題を取り上げて、メリトクラシーに加えて家族主義的な福祉レジームとの関連において、ひきこもりという経験/社会問題の理解とその支援について考えていきます。
メリトクラシーの問題、ポスト産業社会において若者期を経て大人になることの困難などを扱った著作を紹介します。
自分の関心を大事に、様々な経験を積んで視野を広げ、できることを増やすとともに、その力を自分だけでなく他者・社会のために活かせるとよいなと思っています。