私が担当する授業に共通するのは、国際性、参加・体験型学習です。学習の主体は学生である皆さんですから、講義に加え、学生チームによるグループワーク、ゲーム、ワークショップを授業に取り入れ、学生の皆さんに積極的に参加してもらい、自主的に学べるよう授業を組み立てています。科目としては、福祉開発概論、福祉開発の理解、基礎演習、福祉開発フィールドワークなどを担当しています。
福祉開発概論
日本の社会、諸外国の社会、国際社会が直面している様々な問題と社会福祉的なアプローチについて学び、人々に優しい社会を開発し、持続させていくためには何が必要かを考えます。具体的には少子高齢化、格差、開発途上国が直面している課題、多文化共生・共創などについて、社会福祉の視点から学びます。知識のみならず、思考力の養成も重視するため、講義以外に、グループワーク、グループ・ディスカッションなども取り入れています。
福祉開発フィールドワーク
フィールド(現場)での研修活動を取り入れた授業です。従来、夏休み中にカンボジアを訪れ、貧困家庭の子どもたちへの学習支援やストリートチルドレンのためのプレイ・セラピーを行ってきました。私たちの訪問が受け入れてくださるカンボジアの方々にも有益になるようにと、Win-Winなフィールドワークを実践しています。
貧困家庭の子どもたちに給食を提供し学習支援を行うひろしまハウスでの授業
算数や国語の授業に、カンボジアの生徒さんたちがチームで学び合うメンターシップの要素も取り入れます。
コロナ禍で訪問ができなくなり、福祉x教育x DXを取り入れてカリキュラム開発を行い、日本からオンラインによる学習支援に取り組んでいます。
福祉x教育x DXを取り入れたカンボジア・オンライン学習支援
カンボジアで行った対面での学習支援からオンライン学習支援への移行を動画にしました。https://www.youtube.com/watch?v=bpT3qQNyMb0&t=19s
以下に挙げた書籍はノーベル賞受賞者の著作です。各受賞者から、より良い社会づくりに向けたメッセージを受け取ってください。
社会福祉は日本国内だけでの仕事ではありません。社会福祉学とは、国内のみならず国境を越えて通用する具体的なスキルを学び、人々のウェルビーイングを高め、より良い社会を築くための実践力を身につける学門だと考えています。
私自身、小学校3年の時に、エチオピアの子どもたちに毛布を送るUNICEFの学校募金に参加する機会がありました。それが、将来、国際協力の道に進もうと決心したきっかけです。大学と大学院では国際関係を学び、UNICEF、国際協力機構(JICA)、世界銀行に就職して開発途上国への国際協力に従事してきました。そのなかで国際協力は福祉であることに気づき、社会福祉、国際社会福祉を学ぶため、アメリカ・ニューヨーク州の大学院に再び留学しました。グローバル社会でソーシャルワーカーにできることはたくさんあります。今後、グローバルな舞台でソーシャルワーカーが発揮できる力を開発していきたいと考えています。